「点滴した数日後から足がだるくて辛かったな~。畑いじりに出かけらんなくて困ってさ~。」

パクリタキセルによる筋肉痛・関節痛に対して、芍薬甘草湯が効果的だった症例を経験したので、メモとしてshareさせていただきます。
                                                 

【タキサン系抗がん剤(パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン)による筋肉痛・関節痛】
好発時期:day2~5(day5,6で一過性に回復し、非蓄積性とされている)
好発部位:肩や腕、背中、腰、足などの筋肉や関節
薬物療法:アセトアミノフェンやロキソプロフェン、湿布、芍薬甘草湯
<処方例>
・ロキソプロフェン錠60mg 1錠/回 疼痛時
(好発時期は1日3回毎食後の定期内服も考慮)
・芍薬甘草湯 1包/回 1日3回毎食前
                                                 

今回の患者さんは、(病名は伏せますが)週1回のパクリタキセル投与を6週間連続で行い、2週間休薬する6投2休の治療スケジュールでした。
発現時期や経過からパクリタキセルによる筋肉痛・関節痛の可能性が高く、毎週投与する度に症状が出現することが予想されます。
発現時期も短く一過性であるため、生命に関わることはないですが、今回のように強い症状が出た場合には日常生活への支障や治療継続への意欲に影響を与える可能性があるため、早めの対処が重要です。

今回の患者さんは、原疾患の痛みに対してカロナールを1日4回定期内服されていたので、芍薬甘草湯を主治医へ処方提案し、即効性が高いのでまずは頓服(1日2~3回まで)で試してもらいました。

「足が楽になって畑にも行けたよ~。あんな症状がずっと続いたら大変だったけど、これなら大丈夫そうだわ~。」
翌週お話を伺ったところ、患者さんは大変満足されていました。

パクリタキセルやドセタキセルは、乳癌や卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、肺癌など、さまざまながん種で使用される抗がん剤です。今回のメモが参考になって、一人でも多くの患者さんの悩みが解消されれば嬉しいです。
※定期内服薬との相互作用や他の漢方との甘草含有量、低K血症に注意!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考資料:タイムラインで追う がん種別薬学的ケアのポイント(じほう)

芍薬甘草湯については、ワダコウタロウさんのメモがとてもわかりやすいです!!ぜひこちらもチェックを!!
芍薬甘草湯の服薬指導(ワンポイントアドバイス)【ワダ漢方】
http://yakuterrace.com/u/kouta2/wp2gesscrhdkhe

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プロフィール

hossi
性別
男性
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自己紹介
病院薬剤師として主に外来がん治療に携わっています。高齢化の進む中、医療はまさに日進月歩。薬剤師の仕事も対物から対人へとシフトしていることを実感しています。皆さんと知識や経験を共有し、多くの学びが得られたら嬉しいです。
保有資格
外来がん治療認定薬剤師、日病薬病院薬学認定薬剤師

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