抗がん剤による便秘に対して酸化Mgを内服していた方が高Mg血症(疑い)を来たしたため、麻子仁丸へ処方変更した症例をshareさせていただきます。
(あくまで個人的な経験談になりますので、その点ご容赦ください)

酸化Mgは慢性便秘症のガイドラインで最も推奨されており、長期に使用しても効果が減弱しないため、 抗がん剤による便秘に対しても広く使用されています。
しかし、ご存知の通り長期投与で高Mg血症の危険があり、過去には死亡例も報告されています。
医薬品・医療機器等安全性情報 No.252
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/252.pdf

<今回の症例>
60代 男性
パクリタキセル点滴後の数日間は便秘となるため、酸化Mgを自己調節して排便コントロールをしていた
血清Mgは2.0mg/dL前後を推移していたが、3.5に急上昇
高Mg血症の自覚症状はないものの、CTCEAのGrade3(3.0<)となったため、主治医へ照会

高Mg血症の原因について様々な可能性を検討した結果、断定はできないが、おそらく酸化Mgによる影響の可能性が高いとの判断となりました。
今後の方針について主治医と協議し、酸化Mgを中止、麻子仁丸を試してみることにしました。

麻子仁丸については、ワダコウタロウさんのメモがとてもわかりやすいです!いつもありがとうございます!
麻子仁丸の服薬指導(ワンポイントアドバイス)【ワダ漢方】
https://yakuterrace.com/u/kouta2/wp2gessjw2sgcz

麻子仁丸へ変更後、便秘のコントロールは良好で、血清Mgは徐々に低下し1.5~2.0付近を推移し、事なきを得ました。

あらためて酸化Mg長期投与時の定期的な血清Mgの測定が重要であると再認識させられました。
と同時に麻子仁丸の使い勝手の良さも再認識させてもらいました。

酸化Mgは非常にポピュラーなので、処方提案することがまだまだ多いですが、最近は症例によって麻子仁丸のような漢方下剤も積極的に提案するようにしています。

※がん治療による便秘の原因にはオピオイド鎮痛剤による便秘、抗がん剤や制吐剤による便秘があり、原因や症状により使用する下剤が異なるが、消化管の通過障害(イレウスなど)による便秘では下剤の使用が危険な場合もあり、注意が必要!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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hossi
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自己紹介
病院薬剤師として主に外来がん治療に携わっています。高齢化の進む中、医療はまさに日進月歩。薬剤師の仕事も対物から対人へとシフトしていることを実感しています。皆さんと知識や経験を共有し、多くの学びが得られたら嬉しいです。
保有資格
外来がん治療認定薬剤師、日病薬病院薬学認定薬剤師

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