以前Tさんが、「がん患者さんにデカドロンが処方され、吐き気があるのかと思って患者さんに聞いたところ、食欲不振に対しての処方だった」という経験をメモで紹介されていました。

食欲がなくなっている人にデカドロン
https://yakuterrace.com/u/sotbpxhd68/we4v2dahh83zcn

このメモのコメントに書かせていただいたのですが、病状が進行してきたがん患者さんは倦怠感や食欲不振を訴えることがあり、そのような場合にデカドロンなどのステロイドが処方されることがあります。

日本緩和医療学会のガイドラインでは

化学療法、放射線治療が原因ではない、がん患者の食欲不振に対して、コルチコステロイドの投与を行うことを推奨する(1B;強い推奨)
ただし、長期間の投与や全身状態の不良な生命予後が限られた患者での、有効性や安全性は十分に評価されていない

とされています。
(化学療法中の患者さんで、もし化学療法による食欲不振が疑われる場合は、標準的な制吐対策を行うことが必要です!)

先日、私も同じような症例を経験をしたので、メモとして共有したいと思います。

大腸癌(Stage Ⅳ)の患者さんで、3次治療のレジメンが初めのうちは奏効していたものの、徐々に病勢に押されて日々の倦怠感や食欲不振が強くなっていました。
治療継続の方針ではありますが、症状緩和目的でデカドロン2mg/日が開始となりました。

ステロイド開始のタイミングと用量について、緩和ケア担当医師に聞いてみたことがあるんですが、

「倦怠感や食欲不振の症状が出ているが、患者さんが何とか活動できているうちに開始した方がQOLに寄与し、効果があると感じている」
「用量に関しては明確なものはないけど、DXA(デキサメタゾン)2mgでも十分効く人は効くし、効けば基本的には減らしていくかな」

とおっしゃっていました。

薬剤師として、このデカドロンの処方を積極的に医師へ提案するケースはあまりないかもしれませんが、医師の処方意図を正しく理解した上で、患者さんに適切な言葉で説明することは重要だと思って心がけています。
実際の伝え方の例としては、患者さんの状態と医師の処方意図をふまえて「体を少し楽にしてくれる薬」「食欲を上げてくれる薬」といった表現で説明しています。

また「デカドロンを開始して実際に症状が楽になったのか?」といった与後の様子を聞き取ることも心がけています。

緩和ケア領域は非常に繊細で独学では難しい部分も多く、ヤクテラスのメモが大変参考になっています!いつもありがとうございます!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考
日本緩和医療学会 がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン(2017年版)
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/gastro/2017/index.php
聖隷三方原病院 症状緩和ガイド
http://www.seirei.or.jp/mikatahara/doc_kanwa/

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プロフィール

hossi
性別
男性
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自己紹介
病院薬剤師として主に外来がん治療に携わっています。高齢化の進む中、医療はまさに日進月歩。薬剤師の仕事も対物から対人へとシフトしていることを実感しています。皆さんと知識や経験を共有し、多くの学びが得られたら嬉しいです。
保有資格
外来がん治療認定薬剤師、日病薬病院薬学認定薬剤師

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