生体の場合、「熱」と呼ばれるのは、実は「異常高体温」のことです。

体温のホメオスタシスは体温中枢が握っているので、何物かがそれに働きかけて調節を狂わせるのでなければ、異常高体温にはならないはずです。

この「何物」かは、プロスタグランジンという名の、アラキドン酸(不飽和脂肪酸)の誘導体である、という説があります。

炎症箇所にプロスタグランジンが発生し、それが血流にのって脳の体温中枢に働きかけると、異常高体温になるということです。

これに対して従来は、細菌の分泌する毒素、細菌の壊れた分解物、細菌やウイルスに壊された細胞の分解物、ガンの病巣の分泌物などが、体温中枢に働きかけて、異常体温になるとしていました。

プロスタグランジンの生成を抑制するアスピリンに解熱作用のあることからすると、前説に分があるようにみえます。

体温中枢は、体温が上がると、皮膚の血管を拡張してそこに大量の血液を流し、盛んに汗を分泌し、その蒸発によって熱を放出して、体温を元に戻す。この働きが狂わないと異常体温にはならない。

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