【白内障手術】α1受容体遮断薬で虹彩が「ふにゃふにゃ」になる現象『術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)』
【白内障手術】α1受容体遮断薬で虹彩が「ふにゃふにゃ」になる現象『術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)』
こんにちは!!汗かき薬剤師saitorioです。
今回は、患者や処方医からの信頼を得られる
きっかけになるような得する知識や行動などをお話していきます。
その該当するキーワードから紹介していくと、
・白内障手術患者
・術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)
・α遮断薬(前立腺肥大症)です。
これらのキーワードから想像するに
主に男性の高齢者を想像できると思います。
なので、IFISを聞いたことなくても
みなさんの薬局でも該当する患者は少なからずいるはずです。
ぜひ、この記事を参考にして
業務のお役立てができれば幸いです。
それでは早速参りましょう!!
【要点】
・IFISとは虹彩が「ふにゃふにゃ」とした不安定な状態のこと。
・対策としては、事前に眼科医に服用歴を伝えること。
・トレーシングレポートを活用して職能を発揮するきっかけ。
術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)とは
「IFIS:Intraoperative Floppy Iris Syndrome」を簡単に言ってしまうと、薬の影響で虹彩が「ふにゃふにゃ」とした不安定な状態のことを指します。
このことが原因で、白内障の手術が難しくなることや
術中のトラブルに繋がることもあるそうです。
その原因として、前立腺肥大治療薬やα遮断薬を投与している人に
発症することがわかってきました。
今ではα1受容体遮断薬は虹彩の散大筋にも作用し、
筋肉が萎縮するために瞳孔が開きにくくなることが原因だとされています。
と言っても、眼内レンズが入れにくくなりさえするけど、
日常生活は問題ないとされています。
以前は、男性だけが起こると言われたりしてましたが、
女性でも起こると認知が広まっています。
■IFISの3徴候
・水流による虹彩のうねり
・虹彩の脱出・嵌頓
・進行性の縮瞳
■余談:白内障手術のときは、瞳孔を大きく開いて、その後ろの白内障を手術する。瞳孔は虹彩、茶目と呼ばれている部分の中心に開いた孔の部分にあたる。この虹彩が開かない人や、あるいは、開いてはいても、手術中にそれが閉じてくるような人が現れている。
α1受容体遮断薬
ここでこんな疑問が浮かび上がる。IFISはα1受容体遮断薬が原因なら、
前立腺肥大治療薬だけでないのではないかと。
まさにそのその通りで、α1受容体遮断作用のある薬剤では
IFISを発症する可能性はあります。
例えば、降圧薬
・ドキサゾシンメシル酸塩(カルデナリン)
・ブナゾシン塩酸塩(デタントール)
・プラゾシン塩酸塩(ミニプレス)
・ラベタロール塩酸塩(トランデート)
抗精神病薬であれば
・パリペリドン(インヴェガ)
・パリペリドンパルミチン酸エステル(ゼプリオン)
・リスペリドン(リスパダール)
この辺の薬剤では、
添付文書にIFISに関する注意喚起が記載されています。
前立腺肥大症でシロドシンを服用中の患者。白内障手術に影響があるか?(薬局) 公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答 (fpa.or.jp)
ただ、そこまで気にすることは無いのが現状で
その中でも頻度として多いのが「前立腺肥大症治療薬」です。
選択的α1遮断薬であるタムスロシンと非選択的遮断薬であるアルフゾシンを比較した場合、タムスロシンの方が重度IFISを起こしやすいことを明らかにしたとありましたので。
α遮断薬の処方時は白内障の考慮を【米国眼科学会】|米国学会短信|医療情報サイト m3.com
IFISの対処法
では、ここからはIFISの対処法についてです。「そうか、ワーファリンみたく術前に休薬すればいいのか」と
考えがちですがこのIFISは休薬しても軽快するわけではないです。
また縮瞳の程度には個人差があるといいます。
なので、私たちができることは、
事前に眼科医にα1受容体遮断作用を有する医薬品の服用歴を伝えることです。
一番簡単なのは、患者に該当する薬を飲んでることを
眼科医に伝えるように指導すること。
次に、もっと丁寧にいくなら
トレーシングレポート(服薬情報等提供書)を活用することです。
こうすることで医療機関との連携の足掛かりになったり、
患者や処方医との信頼を与えられるきっかけに繋がると確信してます。
以前の記事でもお伝えしたように多くの薬局で、
処方箋枚数が減って空き時間ありますよね?ってありました。
↓その記事はこちらから↓
https://yakuterrace.com/u/r4hfc76whh/mxk8sxnjjsjgb6
普段忙しくて出来なかったことを
その空いた時間でトレーシングレポートに当ててもいいと思います。
術前にIFISを知ってると、
それだけでも助かる眼科医は多いと聞きます。
というのも、事前に対策が出来るからです。
術直前まで散瞳薬の点眼を使ったり、フェニレフリンを術中に使用することで、
虹彩を安定化させることができるからです。
まとめ
・IFISとは虹彩が「ふにゃふにゃ」とした不安定な状態のこと。・対策としては、事前に眼科医に服用歴を伝えること。
・トレーシングレポートを活用して職能を発揮するきっかけ。
でした(*'▽')
いかがだったでしょうか?
この記事があなたのこれからの働き方ヒントになれば幸いです。
【都合の良い常識に捉われない当たり前~疑問を持つ視点を持てるか】
https://note.com/saitorio03/n/n7ce6b384e839?magazine_key=ma692ad7e7401
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