~アンサングシンデレラ第1巻 1話を交えて~

薬剤師が患者さんの訴えからテオフィリン中毒を発見したシーンについて感じたことをメモにしました。まずはテオフィリンについて調べてみました。

【効能効果】
気管支喘息、喘息性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫

【作用機序】
ホスホジエステラーゼ阻害作用によりcAMP増大→β作用→気管支平滑筋弛緩→喘息性等に効果あり

【有効血中濃度と中毒症状】
有効血中濃度:8〜20μg/mL
中毒濃度:20μg/mL以上

中毒症状 
消化器症状(悪心嘔吐、腹痛、下痢)、精神症状(めまい、頭痛、不眠、不安、興奮、せん妄)、心拍増加、不整脈、痙攣等

【たばことテオフィリンの相互作用】
喫煙によって誘導されたCYP1A2はテオフィリンの代謝クリアランスを58~100%増量させ、血中濃度半減期を63%低下、分布容積を31%増加させたという報告があります。喫煙者は酵素誘導作用により、非喫煙者に比べ1.5倍~2倍の量を服用しないと同等の効果が得られないと言われています。

テオフィリン患者が喫煙をした場合
→CYP1A2の酵素誘導→テオフィリンの血中濃度が低下→喘息発作が起こりやすくなり、
テオフィリン服用患者が禁煙をした場合
→酵素誘導が起こらなくなる→テオフィリンの血中濃度が上昇する恐れがあるため注意が必要です。
 
気管支喘息患者の喫煙状況を調べたところ、36%が喫煙者であったという報告もあり、喫煙と気管支喘息の疾患は密接にかかわっているため、テオフィリン服用患者には初回面談での喫煙状況の確認だけでなく、喫煙状況の変化にも注意が必要です。
 
漫画中では、テオフィリン服用中の患者さんが、動悸・めまい・手の震えを訴えており、血液検査をした結果、テオフィリン中毒になっていたことが発覚しました。禁煙したことを医師に伝えず、同じ用量のテオフィリンを飲み続けたことにより血中濃度が高くなり中毒を起こしていたというものでした。

薬剤師が患者さんの症状や服用薬から原因を探る姿はまるで名探偵コナンのような名推理でした。家族からの話を聞き、患者さんの異変を察知し、医師と対立しながらも、患者さんのためを思って起こした行動が患者さんを救ったという一場面でした。

円滑なコミュニケーションをとり、どんなことでも話しやすい雰囲気づくりや、ささいなことに気づけるような観察力は、日々患者さんとかかわるうえで大切なことだと改めて感じました。
最後に、心に残った葵みどりのセリフを紹介します。(第1話 最後のシーン)

 
『薬剤師って何のためにいるのか考えたんですけど―
医師が処方を決めた後の、患者さんにとっては最後の砦みたいな存在なのかなって…そう思ったら医師や看護師や他のスタッフにももっと踏み込んで関わっていくべきだなと-』

 
薬剤師にしか気づけないような薬学的視点を他職種と共有することで、チーム医療として力を発揮できる、みどりのような薬剤師になりたいですね。(『コミックゼノン アンサングシンデレラ』で検索すると電子媒体で、第1話を無料で立ち読みできます!)
 
 
参考文献
浦江明憲,岡田三津子,薬事,42 ,973 ―978(2000)

 

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プロフィール

Chienam
性別
女性
最終ログイン
自己紹介
病院薬剤師4年目
調剤室業務をしながら
歯科→血液内科,循環器内科を担当

日々の気づきや学んだことを大切にしたいです!

第17回ピックアップ薬剤師
インタビュー動画では仕事のやりがい、ヤクテラスを活用して感じたこと、若手薬剤師や薬学生へのメッセージなどを語っています。ぜひご視聴お願いします!
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