【腎排泄性薬剤②】イチゴ大福早作り大会と腎排泄性薬剤
腎排泄薬剤師を添付文書で判断してはいけない理由のひとつ
「①尿中排泄率に、未変化体(活性体)と代謝物(非活性体)が区別されていないことが多い」について
添付文書では腎排泄性薬剤が判断できない理由
1添付文書の尿中排泄率では、未変化体(活性代謝物)と代謝物(非活性体)が区別されていないことが多い。
2経口投与の場合は吸収率を考慮する必要がある。
3代謝物が活性体の薬剤は、代謝物の尿中排泄率である。
4尿中排泄率を算出するまでの回収時間が短く、すべて回収されていない場合がある。
上記4つの理由の1を説明します。
腎排泄性薬剤について考えるとき、薬がからだのそとに出ていく過程をを想像できることが個人的に結構大切だと思っています。おおまかな説明をしますが、想像しながら見てもらえると嬉しいです。
あえてざっくり言います!
腎排泄性薬剤かどうか考えるときに大切なことは、肝臓で効果を失ったのか、腎臓で効果を失ったのかということです。
しかし、添付文書の中には肝臓で効果を失って無毒化されたにもかかわらず、尿と一緒に腎臓から出ていったということだけで、何故か腎臓で効果を失ったとしてカウントされてしまっているものがあります。
今回お伝えしたいことはこれが全てです!
以下、省略しても結構です。
今日はイチゴ大福早作り大会の決勝戦の日です。
100個のイチゴを使って1時間でイチゴ大福を多く作った方が勝ちです。
相手は百戦錬磨の矢部さんです。
(1時間経過)
私は努力の成果も出て、50個のイチゴ大福をつくることが出来ました。
隣の矢部さんをみると、40個しか作れていません。
勝ちを確信しました。
審査員がイチゴ大福の数を数えています。
安心しきっているときに事件は起きました。
審査員が数えながらイチゴ大福を食べているのです。
審査員は私のイチゴ大福50個と矢部さんのイチゴ大福40個、更には残っていた「矢部さんのイチゴ」を20個食べてしまいました。
そして、こう言いました。
「ちょっと生地がついて加工されてるけど、お腹に入れば同じイチゴだから、ぼくが食べたイチゴの数で勝敗を決めます」
急に大会の趣旨が変わりました。
審査員が食べた私のイチゴはイチゴ大福分の50個。
矢部さんはイチゴ大福40個+イチゴ20個の計60個。
今年も矢部さんが優勝しました。
おわり
途中から「審査員にどれだけイチゴを食べてもらえるか大会」に変わっていて、納得できないですよね。
実は添付文書でも同じことが起こっています。(本題まで長過ぎました)
その薬が肝臓で効果を失ったとしても、最後は尿と一緒に腎臓を通っているから腎排泄としてカウントしちゃおう。ということが起こっています。「どれだけ腎臓で効果を失っているか大会」から「どれだけ腎臓を通ったか大会」に趣旨が変更されてしまっています。お腹に入ればどれも一緒ではないのと同様に、腎臓から出ればどれも同じではないですよね。その内訳が大切なはずです。
例)ハルシオン
排泄パターンは尿中排泄型であり、総排泄率は尿中82%
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1124007F1020_3_09/?view=frame&style=SGML&lang=ja
参照:ハルシオン添付文書
です。
しかし、実際にはこの数字の内訳には肝臓で効果を失ったものも含まれています。
それらを除外して計算すると、腎臓で効果を失った率はなんと2%です。
これが本来の腎排泄率です。
ハルシオンは肝代謝型です。
一見、添付文書では腎排泄に見えても、肝代謝型もあるので注意しましょう。
理由を知っているとなんか安心しませんか!?
備考:シンプルにするために、未変化体(活性体)を腎臓で効果を失うもの、代謝物(非活性体)を肝臓で効果を失ったものとしています。 腎排泄性薬剤に関する参考になる図書もメモする予定です。是非見てみてください!
個人的にはイチゴ大福よりミカン大福の方が好きです
※以前調べた内容も含まれています。もし訂正がございましたらコメントお願いします。
勉強させていただきます。
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