経腸栄養剤であるラコールNFには、液体と半固形の2種類の製剤があります。
 
先日、担当した患者さんで半固形剤を使用している方から、実際の様子を聞く機会がありました。
調剤したことはあるものの、特徴や使用方法に関して深く理解していなかったので、あらためて勉強したことをまとめてみました。
(この分野に詳しい方、たくさんいらっしゃると思うので、誤った内容がありましたらコメントでご指摘をお願いします!)
 
【結論】
ラコールNF半固形剤は、経管投与専用の薬剤であり、液体製剤に比べ
・短時間投与が可能→離床時間の確保や介護者の負担軽減につながる
・注入トラブル軽減→投与の安全性が増す

【比較表】
b3n7yb6byxyh934r83fv-7aae349a.png
・カロリーや栄養素各成分の組成は同じ
・半固形製剤の方が水分含有量が少ない
  心不全やCKD患者など、水分制限をしている方にはメリットあり!
  一方で脱水症状に対する懸念もあるため、要注意!
 
【半固形剤の特徴(経管投与時のメリット)】
  
・短時間での投与が可能
 液体製剤:胃を拡張させることができないため、時間をかけて投与する必要がある
 半固形剤:胃を拡張させることで、胃の中で貯めておくことができ、短時間で投与することができる
    
・注入トラブルを軽減できる
 
 ①吐き気や嘔吐、誤嚥性肺炎
 液体製剤:胃内圧の上昇や食道への逆流などにより吐き気や嘔吐、場合によっては誤嚥性肺炎を引き起こすことがある
 半固形剤:胃の進展を促し、貯留能が正常化することで、胃から食道への逆流を防ぐ効果が期待できる
 
 ②胃瘻からの液漏れ
 液体製剤:栄養剤がも漏れ、瘻孔周囲炎を引き起こすことがある
 半固形剤:物理的に液体よりも漏れにくく、スキントラブルを回避できる
 
 ③下痢やダンピング
 液体製剤:胃から小腸への排出が早く、下痢やダンピング症状が問題になる
 半固形剤:胃から小腸への排出が緩やかになり、下痢やダンピング症状を予防できる

【まとめ】
専用の注入器具や手技の習得など、導入のハードルはあるものの、半固形状の特性を生かした、経管投与に適した薬剤であり、長期的なメリットが非常に大きいと言えます。

注入法についてはこちらの資料がわかりやすいです!
※はじめての半固形剤 注入法の手びき(株式会社大塚製薬工場)
 https://www.otsukakj.jp/healthcare/home_nutrition/semisolid.pdf

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

このメモを見た人がよく見ているメモ

プロフィール

hossi
性別
男性
最終ログイン
自己紹介
病院薬剤師として主に外来がん治療に携わっています。高齢化の進む中、医療はまさに日進月歩。薬剤師の仕事も対物から対人へとシフトしていることを実感しています。皆さんと知識や経験を共有し、多くの学びが得られたら嬉しいです。
保有資格
外来がん治療認定薬剤師、日病薬病院薬学認定薬剤師

アクセスカウンター

26
今日のアクセス
92
昨日のアクセス
92593
総アクセス数

カレンダー

2024/4
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

アーカイブ

管理者に通報

利用規約に反している場合は管理者までお知らせください。

管理者に通報
ページ先頭へ戻る
読み込み中です