今回は少しアカデミックな感じでαグルコシダーゼの3剤比較についてメモします。


以前、研究室で学んでいたことをメモとして共有したいと思います。
時間がない人は下線だけポイントとしてみていただけると幸いです。
今回のメモは時間を少しかけているため、良いね!を押してくれると嬉しいです。

三剤を比較してみると、アカルボースは作用が強く副作用も多いのに対し
ボグリボースは副作用が少ない
です(再審査終了時を比較)。
副作用の発現時期での比較については過去のメモをご参照ください。
https://yakuterrace.com/u/yossi/b8dhzo5xmosotj
 
一般名 アカルボース ボグリボース ミグリトール
商品名 グルコバイ ベイスン セイブル
副作用 4534例中
1244例
(27.38%)
放尿増加
(15.78%)
腹部膨満
(13.27%)
ALT上昇
(1.96%)


【再審査終了時】
4446例中
460例 
(10.3%)
放尿増加
(4.0%)
腹部膨満
(3.5%)
下痢  
(4.0%)


【再審査終了時】
1030例中
519例 
(50.4%)
鼓張
(19.1%)
腹部膨満
(14.9%)
下痢
(18.3%)
低血糖
(7.8%)
【効能追加時】
 

なぜアカルボース、ボグリボースは作用が同じなのに副作用に差が出てくるのか?

一つは作られている会社がアカルボースはバイエル(海外)
ボグリボースは武田(日本)であることが考えられます。
海外の薬は日本人に対して強いことがあるし、逆に日本の薬は弱すぎることもあるからです。
 

吸収率の違い

ミグリトールは吸収されることが他の二剤と大きく異なります。
なぜ吸収させて作用するようにしたのか?
それは消化器系の副作用を減らすためだからです。

消化器系の副作用が現れる原因は、
小腸上部で分解を阻害された糖類が小腸下部や大腸などにいくことで
腹部膨満感などの副作用を起こすからであると考えられています。
そこで、薬自体を吸収させれば副作用を回避できると考えてミグリトールが出ました。

実際は、消化器系の副作用は現れてしまっています。
この原因ははっきりとはしてないが薬の作用活性が強いためなどが考えられているようです。

用量依存、用量非依存の違い

アカルボース、ボグリボースは用量依存的に変化しています。
ミグリトールは用量非依存的です。
用量非依存的なものが現れた時に考えることは、吸収過程に飽和がある可能性を考えます。
つまり受動拡散ではなくて、能動輸送のためトランスポーターとかを使っていると考えます。
ちなみにミグリトールはSGLT1を使っています。

アカルボース:健常成人男子(国内10例)に100mgを単回経口投与した場合、未変化体および活性代謝物の血漿中濃度はほとんどの測定時点で検出限界(3ng/ml)以下であった。通常投与量の三倍を経口投与した場合は、30分後から8時間にかけて検出限界を上回る平均血漿中濃度がえられている。そのときの未変化体の尿中排拙率は投与後72時間で0.21%である。
14C-アカルボース200mgを経口投与した場合、投与後96時間以内に投与放射能の35.4%が尿中に、51.3%がふん中に排泄されている(外国人).
i.vでは48時間までの平均尿中排泄率が89.0%であると報告されており、吸収されたものはほとんど代謝をうけない。したがって、腸管からはほとんど未変化体として吸収されないが投与量の一部が腸内細菌によって分解され、その分解物が吸収されると考えられる。
 
ボグリボース:健康成人男子六名において1回0.2mg、一日3回七日間投与した場合、また、健康成人男子10名に2mgを単回投与した場合血漿中および尿中には検出されていない。海外においては健康成人男子六名に1回80mgを食直前に経口投与した場合投与48時間後までの尿中排泄率が投与量の0.63~1.70%であったことが報告されている。14C-ボグリボースを人に投与したデータはないがラットでは尿中およびふん中にそれぞれ約5%、97.5%と報告されていることからボグリボースは全くと言っていいほど吸収されないことが分かる。
 
ミグリトール:海外においてミグリトールを25~200mgを経口投与した場合、非線形の吸収動態を示し投与量が50mgを超えると吸収の飽和が見られ投与量が増加するにつれた吸収率が低下すると書かれている。吸収の大部分は小腸上部で起こっていることが報告されている。排泄については海外において6名の健常人にH-ミグリトール100mgをi.vおよび経口投与した実験でi.vのときは約96%が未変化体として腎から排泄されているのに対し経口投与時には尿中に60%、ふん中に30%が認められる。

参考:各種医薬品添付文書、I F、審議結果報告書

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