前回のメモで、コルチゾールによりBDNF(脳由来神経栄養因子)の減少がみられ、それがうつ病の原因となっている、という説について書きました。
ステロイド投与に由来する薬剤性うつも知られていますが、どのくらいの量で発症するものなのか気になったので、改めて調べたことを( ..)φ
 
 
重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬剤惹起性うつ病」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j07.pdfより抜粋↓
 
(2)ステロイド薬の投与量
 プレドニゾンの投与量が 40 mg/日を超えるとうつ病の発症率が増加 するという意見がある 12)が、後述するように、10~20 mg/日程度であっ てもうつ病を生じる可能性がある。
 
(3)ステロイド薬の投与期間
 早い患者ではステロイド薬の投与初日に生じ、遅い患者では 3 ヶ月以 降になる。多くの症例では数日から 1、2 週間後が多い。
 
(5)早期に認識しうる症状
ステロイド薬投与後に、抑うつ気分や不安感、焦燥感、不眠や食欲低 下など、うつ病の一般的な症状として生じることが多い。しかしながら、 いわゆる制止型うつ病の病像というよりは、焦燥型うつ病の病像をとる ものが多い印象がある。したがって、不安感や焦燥感などは重要な指標 と考えられる。
 
 
 私が割とよく見るステロイドの処方量でいうと、耳鼻科の突発性難聴でプレドニン30㎎/日くらいからの漸減療法。
いままでは寝つきが悪くなるかも、くらいしか言ってなかったですが、場合によっては比較的少量、投与初日からうつ症状が発症するということなので、短期の処方でも不安感、焦燥感など注意したほうがいいのか…
「もしかしたら焦燥感が出る可能性があるけどそれは薬のせいで、やめればなくなりますよ」と言っておいたら、安心してもらえるかなぁ。
 
続けてマニュアルより抜粋↓
(6)病態生理
うつ病患者では血中コルチゾール値が高く、海馬も萎縮していること が指摘されている。クッシング症候群の患者においても海馬が萎縮して おり、その程度が血中コルチゾールと相関していることが報告されてい る。さらに、副腎腫瘍を切除してクッシング症候群が治癒すると血中コ ルチゾールの正常化に伴い海馬の体積も正常化したことが報告されて いる。
 

ステロイドが脳を萎縮させるんだとおもうと、過剰なステロイドって怖いなと思いました(-_-;)
 
いまさらながら…過剰な、というとどのくらいなのか?
 
生理的には健常成人でコルチゾールを1日20㎎分泌されている
→プレドニンに換算して1日5㎎。
参考:https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/02.pdf
 
分泌量にはもちろん個人差もあると思いますが、プレドニン5mg以上となると生理的な分泌量より多い、と考えておくとよさそう。
 
何か間違いなどあればご指摘ください!
 

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東京の調剤薬局で薬剤師をしています!
眼科、皮膚科、婦人科あたりの処方を多く受けています。
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