年齢に合った薬育を届ける。
10月17日(土)〜10月23日(金)の期間は、
「薬と健康の週間」として、毎年様々な催し物があります。
そこで、お薬教室を開催する地域もふえてきたのではないでしょうか?
いつも薬育ラボが行うお薬教室では、
年齢に合わせたお薬教室を開催しています。
年齢区分としては、
4〜6歳の未就学児、小学校1〜3年生、小学校4年生〜6年生、中学生。
このように年齢に区切ったのには、
過去に大きな失敗をしたからでした。
大学4年生の頃、
ママ達が協力して開催するマルシェの賑やかしとして、
お薬教室のブースを会場に設置しました。
お薬教室のスタッフは全員薬学生で、学年も様々です。
天秤を使ったお薬の適正量を学ぶ薬剤師体験()に手応えを感じていた私は、
より子ども達に薬剤師のことを知ってもらおうと、紙芝居の内容を充実させようとしていました。
例えば、ADMEとして、クスリは胃・腸から吸収される話、
薬剤師は、薬局・病院・卸・製薬会社・学校・保健所などで働いていること
クスリは噛み砕いてはいけないこと、ジュースと一緒にのまないこと
人にクスリを渡してはいけないこと等々。
必要なことを盛り込みました。
しかし、ブースにやってくる子ども達の年齢は様々で、
2歳の子、保育園・幼稚園の子、小学校低学年、高学年、中学生がごちゃまぜにやってきます。
せっかく作ってきた紙芝居を披露しても、
子ども達の表情が思わしくなかったり、とても納得していたり、様々でした。
理解した顔をしない子どもを見ると、
紙芝居をしている話し手のテンションはガクッと下がり、
かなり体力が必要になってきます。
そこで、ゲームの前と後でどれくらい理解したかを確かめるアンケートをとることにしました。
紙芝居を
①シンプル群
・病気の時、病院にかかる→薬局にいく→薬の専門家の薬剤師を知る→正しく薬を内服したら、元気になったという話をした群
②レベル中等度群
・①に加え、お薬の適正使用のクイズ
③レベル高度群
・②に加え、吸収・分布・代謝・排泄について盛り込んだ群
上記の①〜③にわけました。
すると、未就学児では、
①の紙芝居を行った後に、薬剤師体験ゲームをした場合は、
薬の適正使用の理解が有意に上昇していましたが、
②の紙芝居を行った後に、薬剤師体験ゲームをした場合は、
薬の適正使用の理解に有意差が出ない結果になりました。
つまり、紙芝居が難しくなると、「自分には関係ないこと」として、話をあまり効かず、薬剤師体験ゲームが、ただのごっこ遊びになってしまったのです。
次に、小学校高学年では、
①の紙芝居を行った場合のゲームの満足度は低く、
③の紙芝居を行った場合のゲームの満足度は高い結果となりました。
つまり、紙芝居が簡単すぎると、「知ってるから楽しくない」として、満足度が下がったのではないか?と思います。
これを踏まえて、
次のお薬教室からは、未就学児用の紙芝居、小学校低学年用の紙芝居、高学年用の紙芝居と年齢の段階に分けて行うことになりました。
ちなみに、未就学児は、エプロンシアターで適正量をわかりやすく解説しました。
すると、子ども達の集中力が保った状態で最後まで行うことができ、
反応もよいため、話し手も楽しく行うことができました。
大学卒業後、
任意団体 薬育ラボを2006年に設立した後、
薬の効果・副作用を色水の変化で実験する薬育()を作りました。
内容も高度で、小学生以上でなければ理解できない内容です。
学生の頃に体験したことを生かし、
未就学児には、天秤を使った模擬調剤の薬剤師体験のみ。
小学生以上には、模擬調剤+実験を行うことにしています。
高学年以上になると、模擬調剤が恥ずかしくなるようで、実験やボードゲーム を活用したお薬教室を行っています。
内容が難しすぎても薬育は意味をなさず、
内容が簡単すぎても薬育は意味をなさないと実感した経験でした。
今も日々、ワクワクするような薬育教材を開発しています。
■NPO法人薬育ラボHP
http://yakuiku-labo.jp
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