化学療法によって起こされたと考えられる筋肉痛にマーズレンS配合顆粒が処方された事例を紹介します。

45歳 女性
診療科 産科婦人科
病名 卵巣がん
レジメン TC+BEV

レジメンに使用される抗がん剤はPTX(パクリタキセル)、CBDCA(カルボプラチン)、Bev(ベバシズマブ)です。
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今までの薬に追加でマーズレンS配合顆粒が処方されました。

みなさんならどのように思いますか?

多くの人が胃の症状があるのでは?と考えると思います。

自分もそうだと考えて患者さんに聞いてみました。

「今回胃の炎症を抑える薬が追加になりましたが、なにか症状ありますか?」

すると患者さんは『先生は筋肉痛の薬が追加になるって言ってった』と話されました。

自分は「???」となりました。PTXによる筋肉痛に対しては芍薬甘草湯やNSAIDsが使用されるイメージがあり、医師が間違って処方している可能性もあると考え疑義照会を行いました。

PTXによる筋肉痛・関節痛に芍薬甘草湯についてはhossiさんが記事にしてくれてます。
参考記事:https://yakuterrace.com/u/hossi/81hphpth3k7d5f

処方医に電話確認すると【マーズレンに含まれるグルタミンが筋肉痛を改善する作用があるので問題ないです】との返答を得ました。


患者さんはお待ちなので医師に電話確認してマーズレンで間違えないことを伝えました。

その後気になってグルタミンがPTXに使用されることがあるのか調べてみました。

マーズレンの添付文書には1g中にアズレンスルホン酸Na水和物3mg、L-グルタミン990mgと記載あります。

Masuyama, H. (2002). Paclitaxel投与時の筋肉痛・関節痛に対する芍薬甘草湯,L-Glutamineの効果. 癌と化学療法29(4), 569-574.
では芍薬甘草湯とほぼ同等の効果を示し、疼痛の期間を短縮することが認められたと記載あります。

一方で
Glutamine does not prevent paclitaxel-associated myalgias and arthralgias
PMID:15334869
では、経口グルタミンがパクリタキセル誘発性筋血管や関節痛の発症を予防したり、重症度を軽減したりする役割を示唆するものではなかったと記載あります。

適応がないのでなんとも言えませんが患者さんの治療の選択肢になるのではないかと思います。
 

 


ちなみにグルタミンとグルタミン酸は別のアミノ酸です。
  • グルタミン…塩基性アミノ酸
  • グルタミン酸…酸性アミノ酸


 

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たろだい
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