緩和ケアチームに参加していると、鎮痛薬のことで後輩から相談されることが増えます。
先日も後輩からがん患者さんの疼痛コントロールに関して相談がきました。
痛みの治療に関わり始める3年目くらいの子達に多いことなので
メモで共有してみます。

「〇癌の患者さんで、オキシコドンを使ってるんですけど
 痛みが強くなってきたみたいなんです。
 今つかってるのが60mgだから80mgとかに増量しても良いかなぁと思うんですが・・・」

頑張って考えてるんだなーと嬉しく思いながら
ここまでくると気になることが出てくるため、ちょっとだけ突っ込み始めます。

私 「痛いんだね。どこが痛いんだろう?」
後輩「えっと、●●あたりだって言ってました」
私 「そっかぁ。いつも痛いのかな?」
後輩「うーん、動くと痛いって言ってました」
私 「どんな風に?」
後輩「そこまでは聞いてないです・・・汗」
私 「それって癌の痛みってことでいいのかな?」
後輩「あ、整形外科もかかってるって言ってました・・・」

こんなふうにオピオイドの増量、薬を変えるか、ということを
みんな頑張って考えてきてくれるのですが
その前にみて欲しい「痛みの評価」をしていないことがあります。

痛みには分類があり、それぞれによって治療目標、治療方法や選択肢が異なります。
癌性疼痛ではでにくいとされるオピオイドの依存、乱用は
慢性疼痛の患者ではでやすいという報告もあります。
NSAIDsが効く痛み、鎮痛補助薬が効く痛みなども様々です。
分類をせずに痛みを鎮痛薬、特に強オピオイドを使用してコントロールするのは
とても危険だと思っています。

以前、腹部の疼痛をオキシコドンの増量でコントロールされていて
急変した時に消化管穿孔が発覚した患者さんがいました。

「痛み」は体の「助けてサイン」です。
薬で消せるかもしれませんが、同時に体に何が起こっているかがわかりにくくなります。
だから、治療をする前、また途中でも、評価を継続していく必要があります。

自分も昔はそうだったなと思うんですが
なぜか感染症とかだと
「培養をとって、その結果をみて●●菌による△△感染症だから・・・」
と普通に考えられるのに
「痛み」と「がん」といういキーワードで(オピオイドをすでに使っていると余計に)
全てが「癌性疼痛」と無意識に思って治療を考えてしまうんですよね。

みなさんも同じような経験があるかなーと思ってメモにしてみました。
勉強会で使っている資料があるので載せてみました!
よければ参考にしてみてください!
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プロフィール

ぽん
性別
女性
最終ログイン
自己紹介
病院薬剤師
消化器内科、産婦人科、麻薬管理、などを経験し、現在は緩和ケアチーム、学生実習、DIを担当しています。
知識が多い分野がマイナーな分野なので、みなさんと色んな知識を共有できたらと思います。
保有資格
日病薬病院薬学認定薬剤師

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